田中のブログ

趣味の話ばかり。

科学に興味を持つ人と持たない人

こんにちは、田中です。

 

私は現在大学生で物理学を専攻しています。よく勘違いされる事なのですが、「大学で物理学を勉強している」と人に説明すると、やたら難しい話を振られたりします。

 

相対性理論って何?」「この前のノーベル賞ってどういうこと?」

「タイムトラベルって実現するの?」「宇宙の外側には何があるの?」

 

などですね。あの…

 

「知りません」

 

知りません。いえ相対性理論も知らない訳では無いし、ノーベル賞の内容は毎年チェックしています。興味はあるので。ただ簡単な顔をして上のような質問をしてくる人はおそらくではありますが、科学の予備知識が薄い。そんな予備知識の薄い人達に聞かれて私はそれに応答しなければなりません。残念ですが、こんな状況に陥った時には「知らない」と一点張りをしてしまいます。

 

つまり私には知識0の人間に上のような難しい話を1から説明し、理解させるような能力は無いという事です。私はアルバイトで塾講師を経験していますが、中学生範囲ですら1から説明して理解にまで持っていくのは至難です。ただ理解を促す事ではなく自分の意見を述べることは出来ます。なので相手がある程度の知識を持った状態であり「相対性理論のここが凄いよね!アインシュタイン頭いい!」だとか「この前のノーベル賞、天文ネタは二年連続で予想外だったね!」だとかを、ただただ会話するのが楽しいのです。それで満足します。

 

でも予備知識のない人がせっかく質問をしているのに置き去りにするのはよくないですよね。一番良いのは私がもっともっと頭が良くなって上の質問を簡単に説明できてしまう人間になることですが、どうも難しそうです。私は少しでも科学に、物理学に、興味を抱いてくれれば日常生活で私のような堅物理学部生ともディベート出来るんじゃないかと考えています。えらく長いですがここまでが前置きです。

 

物理学に興味を持ったタイミング

私が物理という単語を初めて耳にしたのは小学校一年生の時です。当時フジテレビでガリレオというドラマをやっていました。主演の福山雅治が演じる湯川学は物理学科の准教授でした。ドラマの内容は刑事と湯川が協力して怪事件を解決する、その際に鍵となるのは毎度、湯川の物理学的な見解でした。そのころからどことなく科学ってカッコイイなと思っていたと思います。今になって思えば科学がカッコイイのではなく、福山雅治がカッコイイだけでした。

ガリレオとの出会いはおそらく大きかったでしょう。小学三年生から教科に理科が追加されますが、とてもワクワクしていた記憶がありますし、小学四年生で入ったクラブは科学クラブでした。小学校六年生になると、「天文学」即ち宇宙について漠然と興味が湧き「将来の夢は天文学者です!」と卒業式で声高らかに豪語して卒業していきました。

さて、ここまで小学生時代の私の科学に対する価値観ですが…あまりはっきりしていませんね。科学が好きになったきっかけとなったのは確かにガリレオです。物理学です。ですが当然、小学校に「物理」という教科はありません。習わなかったのです。私は読書もそこまでしないので、物理の参考書なども読んでいませんでした。そもそも「物理」ってなんだ?そんな状態でおぼろげに科学が好きだ!とか抜かしていたわけです。何もせずして天文学者にはなれない、ということは理解していた私は、中学一年生に上がり宇宙についての学術書を読み漁りました。中学の朝読書の時間も「宇宙」について考え、本を読む。「俺の読んでる本はみんなと違って難しいんだぞ!」みたいな矜持もありました。しかし私が当時読んでいた本…「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」(集英社インターナショナル出版:村山斉 著)は当時の私にとって難しすぎました。

 

まずなんですかlimって、∫ってなんですか。 Σ? Π?

 

中学生の私には理解しかねる文字の羅列。ドヤ顔で読んでいた自分が阿保らしい。

でもワクワクしました。13年生きてきて1ミリも分からない内容がある事に。

この頃から気づき始めます。「宇宙」を知るには「物理」が必要な事をです。

そして「物理」には「数学」が付き物であることも。

それからの私は一気にシフトチェンジ、宇宙についての学術書ではなく物理の参考書を読み始めます。それもなるべく難しくないものを選びました。「14歳のための物理学」(春秋社出版:佐治晴夫 著)はとても分かりやすかった。それでも難しい数式は出ていたが、出てくるたびに興味をそそられた。物理を勉強しているのだから科学(理科)において物理がどのような立ち位置にあるのかをだんだんと理解していきました。当然、理科の授業でもこれは化学分野、これは生物分野、これは物理分野と割り切ることが出来ました。今になって気づけば、それが出来ていたのは物理の参考書の他、科学の学術書などを読んでいたからに違いありません。他の人はどうだったのでしょう。理科の授業としてしか受けていなかったのではないでしょうか。

 

興味のある学問を早い段階で認識する重要性

ここまでをまとめると、私が物理の道を歩み始めたのは中学生からということになります。そしてその事実が今の私を形作っています。すでに文系の道を歩んだ人からすれば「始めから科学に興味のあった奴の話なんて参考にならねえよ」って感じでしょうか。私は別に物理に興味を持って物理の勉強をして大学は物理学科に入りなさい!と言いたいわけではありません。私の中学生時代から読み取ってほしいのは、「中学生理科の中に物理を認識できていたか」という点です。前段落で下線を引いてある部分の事ですね。おそらく物理に興味が抱けなかったという人はそもそも科学においてどこの部分なのかを理解していないのだと思います。人が学問に興味を持つタイミングは様々ですが、中学生辺りで大まかな方向性を定めた方が良いと考えています。興味のある学問を勉強するために大学へ行く、大学に入るために受験勉強をする、受験科目のために文系・理系を定める。これを全て高校生で済ますことは難しいです。少なくとも自分が文系と理系どちらに進むのかは中学生の段階で決めておきたい所です。そして更にコアな目標、私で言うところの「物理を勉強したい」という目標があるならば、既にこの時点で自分が勉強したいと思っている科目の立ち位置を知ることが重要なのです。

 

私の考える中学校理科教育の弊害

中学生の習う理科は物理分野、化学分野、生物分野、地学分野に別れています。ですが教科名は「理科」です。物理も化学も生物も地学という授業もありません。

(一般公立中学校の場合です。私立や中等教育学校では異なります。)

ですから、習っている生徒自身も何を勉強しているのかが分かりづらい訳です。

皆さんは理科の定期テストで、良い点数の時と悪い点数の時で差が酷いなあと感じた経験はありませんか?当然差は生まれます。各単元ごとに科目が変わっているようなものですから。その時のテストを思い返してみてください。植物や遺伝の単元で良い点数を取れていたら、あなたは生物が得意かもしれない。化学反応式や水溶液の性質の単元だったら化学が、力のつり合いや電気抵抗なら物理が得意なのかもしれない。しかし中学生は理科を理科としてしか認識してません。

なので理科は「その時によってテストの点数がまばらだな。俺、理科は向いてないかもしれない。」と思ってしまう人が多いのです。

 

自分の得意を見逃さないで

とにかく伝えたい事は、ここです。中学生の時ちょっと得意だった理科の分野、好きだった理科の分野を思い出してみてください。それは物理ですか?化学ですか?生物?それとも地学でしたか?そんな分野が見つかったら今からでも本を手にとってはいかがでしょう。今はインターネットでも興味深い話が山ほど載っています。何か一つ読んでみて話のネタにしてみてください。

 

そして世界中にいる私みたいな理学部生の堅物にやさしく話しかけてあげてください。

 

後半は理科に限らず全教科で言えることですね。

長文かつ拙い文章をここまで読んでくれてありがとう。